HGのエアリアルにスジボリをしてみよう-ガンプラスジボリ解説
HGガンダムエアリアルをアクリジョンの筆塗り全塗装で仕上げる「ガンダムエアリアルを作る!」シリーズです。
「スジボリ編」の今回は、エアリアルさんの全身にスジボリでディテールを追加していきます。
スジボリをしていくのですが、筆者はガイドを使わずフリーハンドでスジボリしています。
ガイドテープを貼るのが面倒で、楽なスジボリを模索したどり着いたやり方です。
- スジボリに必要な道具
- スジボリのやり方
- スジボリのコツ
- 失敗のリカバリー方法
本記事では、キレイにスジボリする方法を紹介しますので、最後までご覧ください。
フリーハンド・スジボリの詳細が気になる方は、次の記事をご覧ください。
1.スジボリとは
スジボリとは、プラモデルの装甲のつなぎ目を表現したモールドを追加・強調することです。
まず、スジボリに必要な道具から見ていきましょう。
1-1.スジボリに必要な道具
1)彫る道具
■タガネ
平刃型の道具で幅が均一なミゾが彫れます。
0.1mm~1.5mmと刃幅が多彩で、デザインにより使い分けが可能です。
■ケガキ針
先端が針状の道具です。
シャープなスジボリや細かい造形の彫り直しなど、幅広く活躍します。
2)補助する道具
■スジボリガイドテープ
キレイなスジボリにはガイドテープの使用がオススメです。
硬さや幅、直線用・曲線用などバリエーションがあり、使いやすいものを使いましょう。
■スジボリテンプレート
同形のモールドを量産したり、凝った形状を彫ったりする場合は、テンプレートが便利です。
プラ板で自作も可能です。
3)その他の道具
こんな道具も使います。詳しくは本記事内で解説します。
道具の使い方、スジボリのやり方の詳しい説明は、こちらの記事をご覧ください。
2.スジボリしていく
スジボリしていくHGガンダムエアリアル。
ゲート跡処理、合わせ目消しなどの基本工作を済ませてあります。
スジボリされる前のエアリアルさん
※クリアパーツは後続の塗装工程を考慮し、外してあります。
では、さっそくスジボリしていきましょう。
エアリアルは大きな太ももが特徴的です。
まずは、脚部からスジボリします。
2-1.脚部のスジボリ
※筆者はスジボリにガイドテープを使っていません。
使っている方はテープを貼っているイメージでご覧ください。
▲スジボリのデザインをシャーペンで下書きします。下書きはメラミンスポンジやヤスリで簡単に消すことができるので、納得いくまでやり直します。
▲1/144スケールで一般的な0.15mmのタガネを使います。BMCタガネが買えなかった筆者は、Amazonで買った2,000円位のものを使っています。
▲下書きに沿ってタガネを動かします。一度で彫ろうとせず、やさしくゆっくり何度もなぞります。力を入れるとズレたり曲がったり失敗します。
▲タガネは常に縦方向に動かします。手がぶれてミゾが曲がらないようするためです。下書きに合わせてパーツを回転させ縦に彫っていきます。
▲下書き通りにスジボリすることができました。よく見ると彫ったミゾが毛羽立ち盛り上がっています。
▲ミゾの上からスポンジヤスリでヤスリがけし、毛羽立ちを削って整えます。
▲毛羽立ちがキレイに無くなりました。ミゾに削りカスが詰まっているので、歯ブラシなどで取り除きます。
▲つづいてデザインナイフの背を使い、ミゾの角を削っていきます。ミゾに対し斜めに角度を付けて刃を入れます。
▲このようにミゾに角度がついて立体感が出ます。これをやるとパネルラインの別パーツ感が強調されます。
タガネ本体は角ばっていて持ちにくいので、ホルダーの使用をおススメします!
2-2.マイナスモールドを彫る
よくある短めの直線モールドを彫り込んでいきます。
▲短い直線をシャーペンで下書きします。
▲太いミゾにしたいので0.6mm幅のタガネで彫ります。下書きの上をなぞって彫り込んでいきます。
▲下からも掘り込んで深さを均等にします。パーツを回転させて反対側から彫ります。
▲0.6mmのミゾが彫れました。でもミゾの輪郭が若干ぼやけています。(写真ではわかりにくいですが)
▲そこで0.2mm幅の細いタガネでミゾの輪郭を彫っていきます。ぼやけたミゾをくっきりさせるのです。
▲先ほどまでぼやけていたミゾがくっきり見えるようになりました。
2-3.左右対称に彫る
ある程度彫り進めたら、対になるパーツも彫っておきましょう。
彫り忘れることがあるからです。
▲スジボリ済みの脚部と並べ、同じ形状になるよう下書きします。左右対称が望ましいですが、筆者は雰囲気でやっています。
▲下書きの段階で左右で比べると同じ形状にしやすいです。ノギスで測ったりテンプレを使ったりが良いのでしょうが、筆者にはその技術と気力がありません。
▲ご覧のように左の足にも、同じ形状のミゾを彫り込むことができました。
2-4.細かいミゾを彫る
つづいて、細かいミゾを彫り込み密度感を出していきます。
▲デザイン優先で謎のパネルラインを彫り込んでいきます。機能的な意義はなく雰囲気重視です。
▲彫った後の毛羽立ちがひどいので、ヤスリで整えデザインナイフの背でミゾの角を落としていきます。
▲こんな感じで細かいモールドを散りばめました。バランス良く配置することで密度感が出ます。
2-5.幅変でメリハリをつける
ミゾの一部を太くしてメリハリをつけていきます。
▲0.15mmで彫り込んだモールドの1辺を、0.3mmのタガネで彫り直し太くしていきます。
▲太く彫り直したモールドは角が立った状態なので、デザインナイフの背で再び角を落としていきます。
▲このようにモールドの太さを変えることでスジボリにメリハリがつき、引き締まった印象になります。
1)削って段落ちさせる
今度はパーツのフチを段落ちさせて、装甲の重なりを表現してみます。
▲まずは普通にスジボリします。パーツのフチから少しだけ離れた場所にパネルラインを引きます。
▲彫ったパネルラインの外側を削り段落ちさせます。デザインナイフの背で少しずつ削っていきます。
▲刃の正面では削れ過ぎてしまうため、背を使って少しずつ削ります。
▲ある程度段落ちさせたら、くっきりさせるため段差の境目をケガキ針でなぞります。
▲装甲が重なっているような雰囲気になりました。少し毛羽立っているのでヤスリで整えます。
▲削る前との比較です。情報用が増え「手を加えた感」が出るので、筆者は好んで行う加工です。
▼0.3mmのタガネはこちら。よく使う幅で重宝します!(ピンバイスにセットして使います)
2-6.失敗してしまったら
スジボリしていると、曲がったり、はみ出したり、失敗することが良くあります。
うまく彫れてもデザインが気に入らないこともあります。
そんな時は瞬間接着剤でミゾを埋めてしまいましょう。
実際にやってみます。
▲彫ったミゾが、左足の形状と大きく違ってしまいました。失敗です。
▲そんな時は瞬間接着剤の出番。サラサラのもの、ドロドロのものとがありますが、粘度が高いものを選びます。粘度が低いと毛細管現象で埋めたくないミゾまで接着剤が流れてしまいます。
▲失敗したスジボリに接着剤を塗布します。失敗した個所にピンポイントで塗るのがポイントです。
▲瞬間接着剤といってもすぐには固まりません。硬化まで待ちます。数十分くらいです。
▲硬化後、盛り上がった部分をデザインナイフの背で削っていきます。それほど硬くないのでサクサク削れます。
▲ある程度削ったら、ヤスリで整えます。400番程度の粗いヤスリでゴリゴリ削ってしまいましょう。
▲ご覧の通り失敗したスジボリがなかったことになりました。この上からスジボリをやり直せばOKです。
▼失敗したスジボリを埋めるのは粘度の高い瞬間接着剤がオススメ。
3.スジボリを終えたエアリアル
3-1.部位詳細
1)頭部
もともと情報量が多いので、バルカン付近や後頭部にだけパネルラインを施しました。
2)胴体
パーツの多くが「KPS※」でスジボリしづらいので、少しのパネルライン追加に留めました。
※KPS…”Kyouka PolyStyrene”の略。ABSの代替素材としてバンダイが開発。
粘り気がある素材で、スジジボリすると毛羽立ち非常に彫りにくい。
3)腕部
あっさりした前腕と肩の一部にスジボリでディテールを追加しました。
4)腰部
つるっとしたサイドアーマーを削り、段落ちした部分を作りました。
5)脚部
一番頑張った脚部です。ほぼすべての部分にスジボリして情報量を追加しました。
6)エスカッシャン
エスカッシャンってなんやねん。余白が広かったので多めにスジボリしました。
スジボリされたエアリアルさん
もともとディテールが多く、デザインを邪魔しないスジボリを考えるのが大変ではありました。
まとめ
以上、HGガンダムエアリアルにスジボリしてみる記事でした。
スジボリのデザイン検討は難しくて楽しいものです。
筆者は、気に入ったデザインになるまで、何度も下書きをやり直します。
いまでは、ネットで検索すれば、先人の秀逸なスジボリを見ることができます。
是非、オリジナリティあふれるスジボリで、個性ある作品を作ってみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、ステキなスジボリライフを!
ENTRHG 1/144 ガンダムエアリアル
1,430円 2022年10月発売(公式サイト)
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