水性塗料「アクリジョン」の性能を徹底解説!-臭くない・すぐ乾く
水性アクリル塗料のアクリジョンをご存じですか?
アクリジョンは2013年にGSIクレオスから出た比較的新しい塗料です。
同社の水性ホビーカラーと比べて知名度が低く、使ったことがない方が多いのではないでしょうか。
- どんなところが良いの?
- 隠ぺい力が弱いって聞くけど大丈夫?
- 乾燥時間はどれくらい?
- 水性ホビーカラーとどこが違うの?
- 色数はどれくらい?
アクリジョンは、有機溶剤の使用量を減らし臭いを抑えた環境にやさしい水性塗料です。
この記事では、アクリジョンをもっと知ってもらうため、発色・乾燥時間・塗膜の強さを徹底解説します!
ぜひ最後まで読んでくださいね。
1.アクリジョンの特徴
アクリジョンは、GSIクレオス従来品の「水性ホビーカラー」から、乾燥時間の遅さや塗膜の弱さ、有機溶剤による臭いを改善した水系エマルジョン塗料です。
※エマルジョンとは、化学用語で「水と油のように混ざり合わない液体の一方を微粒子にして他方に分散させること」を指します。いわゆる乳化した状態の塗料です。
アクリジョンの主な特徴は次のとおりです。
- 水だけで希釈・洗浄できる
- 有機溶剤の割合が低く臭いが少ない
- 乾燥後は耐水性化(水で溶けない)
- 乾燥が早い
- ABS※1製パーツを侵食しにくい
水だけで扱え臭いも気にならない
安全・お手軽で初心者にやさしい塗料、
それがアクリジョンです!
※1 ABS … プラスチックの一種で、硬くて衝撃に強いためガンプラの関節・フレームパーツに用いられます。塗料の有機溶剤により脆くなり割れやすくなります。
2.カラーテストで発色を見る
早速、アクリジョンの発色を見てみましょう。
プラスチックスプーンを用い、次の4色のアクリジョンでカラーテストをしてみます。
- 赤色系 … シャインレッド
- 黄色系 … イエロー(黄)
- 緑色系 … エメラルドグリーン
- 青色系 … ブルー(青)
▲ テストに使う白スプーンです。
白い素地は発色に影響せず塗料そのものの色を確認できます。
※塗料の食いつきを良くするため、表面をヤスリで荒らしています。
水性塗料の筆塗りはムラになりやすいので、薄く何度も塗るのが基本です。
カラーテストも基本に則り、薄く複数回塗り重ねていきます。
塗料は希釈せず、ビンから出したままの濃度で使います。
2-1.赤色系
▲赤色系「シャインレッド」の発色です。公式の色見本通り、鮮やかに発色しています。
※5回重ね塗りしています。
塗り重ねによる変化
4回塗りでも発色していますが、5回塗るとよりキレイに発色します。
▼明るめの赤、シャインレッド。ガンダムの赤など出番は多いです。
▼赤系統のカラーラインナップです。
2-2.黄色系
▲黄色系の「イエロー(黄)」です。シャインレッドと同様、公式の色見本どおりに発色しています。
塗り重ね回数による発色の違いも見てみましょう。
塗り重ねによる変化
イエローは隠ぺい力が弱く、4回目までは若干ムラが残っています。
実は、アクリジョンで最も隠ぺい力が弱いのが、この黄色系塗料です。
▼黄系統のカラーラインナップです。
2-3.緑色系
緑色系「エメラルドグリーン」です。問題なく発色していますが、少しムラが出ています。
濃い色は白下地に塗ると、筆跡がムラになりやすかったです。
塗り重ねによる変化
4回目まではムラが目立つので、5回塗り重ねた方が良さそうです。
▼緑系統のカラーラインナップです。
2-4.青色系
最後は青色系の「ブルー(青)」です。他系統の色と同じように問題なく発色しています。
ムラもありません。
塗り重ねによる変化
3回でも十分に発色しています。隠ぺい力が強く発色が良いですね。
▼青系統のカラーラインナップです。
(光沢)
クリアーブルー
発色には「塗り重ね」が必要
どの系統の色もキレイに発色しましたが、色によっては5回ほど塗り重ねる必要がありました。
筆塗りはムラができやすく重ね塗りが前提なので、塗装の際は以下の点に気を付けましょう。
- 1回で発色させようとしない
- 塗料は筆に少量とる
- 薄く塗り広げる
- 完全に乾いてから次を塗り重ねる
薄く塗ると15~20分で乾きます!
3.色により異なる隠ぺい力
「隠ぺい力」とは”塗料が下地の色を覆い隠す力”のことです。
塗料は色により隠ぺい力が異なり、アクリジョンは特にそれが顕著なので、塗装の際は注意が必要です。
▲隠ぺい力を確認するため、今度は黒と薄グレーのスプーンを使って試し塗りしてみます。
※スプーン表面はヤスリで荒らしています。
3-1.グレー・黒下地での発色
※それぞれ5回塗り重ねています。
■シャインレッド
■イエロー
■エメラルドグリーン
■ブルー
グレーのスプーンはどの色も概ね発色していますが、黒スプーンはシャインレッドとイエローの発色が極端に悪くなりました。
赤色や黄色は隠ぺい力が弱く、黒い下地にそのまま塗った場合はほぼ発色しません。
これじゃあアクリジョン使えないじゃん…と思うかもしれませんが、安心してください。
アクリジョン ベースカラーが助けてくれるのです!
4.発色を助ける「ベースカラー」
アクリジョンには発色を助ける下地塗料の「アクリジョンベースカラー」が用意されています。
(白・灰・赤・黄・青・緑の6色)
(アクリジョンベースカラー公式)
同系統の色を下地として塗ることで、重ねた塗料の発色が格段に向上するのです!
今度はベースカラーを使い、隠ぺい力の弱い赤・黄の発色がどの程度向上するか見てみましょう。重ね塗りの回数は次の通りです。
- 赤系 … ベースレッド × 2回
→ シャインレッド × 2回 - 黄系 … ベースイエロー × 2回
→ イエロー × 2回
ベースカラーを下地にすると、単体では発色しなかった赤色・黄色がキレイに発色しました。
スプーンの素地をベースカラーが覆い隠し、重ねる塗料の発色を助けたためです。
このように、ベースカラーを使いこなせば、思い通りにアクリジョンの筆塗りを楽しむことができるのです。
詳しくは次の記事にまとめています。
5.塗膜は丈夫で剥がれない
5回重ね塗りしたスプーンを使い、塗膜の強さを確認してみます。
刃物やピンセットなどで強めに擦るなどしなければ、傷すらつかないほど丈夫でした。
アクリジョンの塗膜は強いのです。
▲指で強くこすっても塗膜に変化はありません。
▲爪で強めに引っかきましたが、塗膜は剥げませんでした。
▲デザインナイフの背で強くこすると、ようやくキズが付きます。
6.乾燥時間は15~20分
アクリジョンの乾燥時間を見てみましょう。
希釈しない状態で薄く塗ると、15分~20分で乾燥します。
この程度の時間なら他のパーツを塗る間に乾くので、スピーディに塗装することができます。
ただし、乾燥時間は湿度や塗膜の厚さによって変わるので、筆などで触って跡がつくようなら、もう少し時間を置いた方が良いでしょう。
7.水性ホビーカラーとの違い
同じ水性塗料の「水性ホビーカラー」はアクリジョンと異なり有機溶剤を含みます。
大きな違いは次の通りです。
同じところ
・ 水で洗える・希釈できる(筆塗りなら)
・ 色味
大きく違うところ
・水性ホビーカラーは有機溶剤系塗料
・ アクリジョンはエマルジョン塗料
(水がベース)
・ 水性ホビーカラーは下地を溶かす
・ アクリジョンは溶かさない
詳細は次の記事にまとめています。
まとめ
以上、アクリジョンの性能を解説しました。
今回のポイントをまとめると、次の通りです。
- 白い下地なら発色は良好
- 発色が悪ければベースカラーを使う
- 薄く塗れば15~20で乾燥する
- 乾けば塗膜は簡単に剥がれない
結論、アクリジョンは筆塗りに十分使えます。
臭いが弱く水だけで手軽に扱える「進化した水性塗料」アクリジョン。
初心者にも優しい塗料なので、是非この記事を参考に筆塗りを楽しんでみてくださいね!
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、ステキな筆塗りライフを!
▼アクリジョンで筆塗をはじめるなら、スターターキットがおすすめ!
※アクリジョンを使った筆塗りのコツをまとめていますので、よければご覧ください!
アクリジョン カラー一覧
アクリジョンのカラー一覧です。※2024年5月27日現在
※色画像は、公式サイト「カラーラインナップ」と同じ色です。
■白系
■グレー系
(半光沢)
RLM65ライトブルー
■黒系
■赤系
■黄色系
■緑系
■青系
(光沢)
クリアーブルー
■紫・ピンク系
■茶系
■メタリック系
(メタリック)
メタリックブルー
■その他
N20
(つや消し)
つや消しクリアー
N30
(光沢)
クリアー(透明)
N40
(つや消し)
つや消し剤フラットベース
■筆塗り専用カラー
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