アクリジョンと水性ホビーカラーはココが違う!臭い/ABSの侵食/下地塗料の有無
![](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/05/3-1-1.jpg)
水性塗料といえば思い浮かぶのが、GSIクレオス社の「水性ホビーカラー」ではないでしょうか。
シタデルカラーやファレフォもメジャーですが、水性塗料といえば水性ホビーカラーでしょう。
1982年誕生の歴史ある塗料で、2019年に大幅リニューアルしています。
そんな水性ホビーカラーと、同社後発の水性塗料アクリジョンにはどんな違いがあるのでしょう。
- どっちも水性塗料だけど何が違うの?
- 筆塗りを始めたい人はどっちが良い?
- 初心者にオススメなのはどっち?
- 見た目が似ていて違いがわからない
ふだん塗装をしない方には、違いが分かりにくいかもしれません。
そこで今回は、両者の臭いや発色、乾燥時間等を比較し徹底解説したいと思います。
解説の前にざっくりした違いを見てみましょう。
ざっくり特徴
同じところ
・ 水で洗える・希釈できる(筆塗りなら)
・ 色味
大きく違うところ
・ 水性ホビーカラーは有機溶剤系塗料
・ アクリジョンはエマルジョン塗料
(水がベース)
・ 水性ホビーカラーは下地を溶かす
・ アクリジョンは溶かさない
両者は、その成分に明確な違いがあるのです。
本記事ではそれぞれを実際に塗って比較し、違いを解説します。
どちらを買うか迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください!
▼ビンの見た目が似ていますが、商品名をよく見て選びましょう。
![アクリジョン](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/05/acrysion-new-768x1024.jpg)
![水性ホビーカラー](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/05/hubby-color-new-768x1024.jpg)
▼アクリジョンの詳細は次の記事をどうぞ!
![水性塗料「アクリジョン」の性能を徹底解説!-臭くない・すぐ乾く](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/05/1-1-7-320x180.jpg)
1.アクリジョンと水性ホビーカラーの比較
1-1.比較表
両者の主な特徴をまとめました。詳細は後述します。
特徴 | アクリジョン | 水性ホビーカラー |
---|---|---|
種類 | 水系エマルジョン | 水溶性アクリル樹脂 |
臭い | 弱い | やや弱い |
発色 | やや弱い | 普通 |
乾燥 | やや早い | 普通 |
ABSの浸食 | 侵食しない | 侵食する |
専用下地の有無 | ある | ない |
使用感 | サラサラ | ややベタベタ |
良ければGSIクレオスの公式情報もご覧ください。
1-2.臭い
![](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/05/a-vs-h-smell-new.png)
臭いは、健康面や周囲への配慮が必要になるので、塗料選択の大きなポイントです。
結論、臭いの面で優れているのはアクリジョンです。
これは有機溶剤の含有量の違いによるものです。
アクリジョン
アクリジョンの臭いは非常に弱く、塗装中もほぼ感じることはありません。
私個人の感覚では、換気をせずとも気にならないレベルです。
ビンに鼻を近づけると、さすがに臭いを感じます。
※気分が悪くなるので長く嗅がないでください。
水性ホビーカラー
水性ホビーカラーも臭いは少なめですが、若干シンナーの臭いを感じます。
塗装中も臭いがしますし、ビンに鼻を近づけると強い刺激臭がします。
そのため換気は必須となります。
1-3.発色
![](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/05/a-vs-h-color-new.png)
色味は両者とも違いはありませんが、発色が良いのは水性ホビーカラーです。
白と黒のプラスチックスプーンを用いたカラーテストで発色を見てみましょう。
白スプーン
ご覧の通り色味は同じです。
発色は水性ホビーカラーが若干良く、必要な塗り重ねの回数は次の通りでした。
<塗り重ね回数>
・アクリジョン :5回
・水性ホビーカラー:4回
塗り重ねの回数が多いと塗膜が厚くなり、エッジやモールドが潰れて野暮ったい仕上がりになります。
少ない回数で発色するのは、筆塗り用の塗料にとって大きなアドバンテージです。
黒スプーン
黒スプーンの場合、水性ホビーカラーは発色しましたが、アクリジョンはほぼ発色しませんでした。
どちらの塗料も5回塗り重ねた状態です。
アクリジョンは暗色の下地だとキレイに発色しません。
※色によって異なります。
発色の違いは有機溶剤の含有量によるもので、溶剤をほとんど使わないアクリジョンは発色が弱い傾向にあります。
※アクリジョンの発色は、私がアクリジョンで塗装した作例も参考にしてください。
1-4.乾燥時間
![](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/05/a-vs-h-dry-new.png)
筆塗りはムラを防ぐため1度で塗らず、塗り重ねることで発色させます。
乾燥してから塗り重ねるので、乾燥時間が短いほど作業効率が上がります。
![これくらいすごく薄く塗ります。](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/06/usunuri-768x1024.jpg)
希釈せずに薄く塗ったアクリジョンは、15分程度で乾燥しました。
水性ホビーカラーも同程度でしたが、若干、アクリジョンが早く乾く印象でした。
乾燥時間に決定的な差はなく、薄く塗った場合はどちらも20~30分もあれば乾燥します。
1-5.ABSの浸食有無
![](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/05/a-vs-h-abs-new.png)
ABSとは
ABSとはプラスチックの一種で、硬く衝撃に強い素材です。
丈夫な反面、塗料の有機成分が浸透すると脆(もろ)くなり割れることがあります。
古いキットの関節やフレームなどで使われるので、塗装には注意が必要です。
アクリジョン
アクリジョンは、水性ホビーカラーと比較して有機溶剤の使用量が約80%カットされており、ABS製パーツを侵食しにくくなっています。
直接ABSに塗ってもパーツが脆くなることはありません。
出典:GSIクレオス “水性模型用塗料「水性カラー アクリジョン」を発売”
低溶剤のアクリジョンは、パーツの材質を気にせず塗装することができるのです。
![ふでおじ](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/11/face.jpg)
私も4年間アクリジョンを使っていますが、ABS製パーツが割れたことはありません。
水性ホビーカラー
水性ホビーカラーは有機溶剤を含むため、ABS製のパーツを侵食し割れやすくします。
公式サイトでもABS製パーツへの塗装は推奨していません。塗装が必要な場合は、サーフェイサーなどで下地塗装が必要になるでしょう。
1-6.専用下地の有無
![](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/05/a-vs-h-shitaji-new.png)
水性塗料は「隠ぺい力」が弱いため、キレイに発色させるには下地の色が重要になります。
※隠ぺい力 … 素地の色を覆い隠す能力のこと
アクリジョン
![アクリジョンベースカラー](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/05/base-color.jpg)
アクリジョンには「ベースカラー」という専用の下地塗料がラインナップされています。
下地として塗ることでアクリジョンの発色を大幅に向上させる塗料です。
同系のベースカラーを下地にしたり通常色と混色したりすることで、隠ぺい力の弱い「赤」や「黄」もキレイに発色させられます。
発色が弱めなアクリジョンでキレイに筆塗りするには、ベースカラーの使い方がキモと言えます。
詳細は以下記事をご覧ください。
![色付きのサフ★アクリジョンベースカラーの使い方・メリットを徹底解説!](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/06/2-1-1-320x180.jpg)
水性ホビーカラー
水性ホビーカラーに専用の下地塗料はありません。
下地塗装をする場合は「サーフェイサー」や、隠ぺい力が高い「暗色の水性ホビーカラー」を使うことになります。
1-7.使用感(希釈なし)
![](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/05/a-vs-h-brushing-new.png)
どちらの塗料も、筆で塗る場合は基本的に希釈する必要はない※とされています。
つまり、ビンから出したそのままの状態で塗ればよいのです。
※GSIクレオスの塗料公式ページより
希釈をせずに筆塗りした際の感触は次の通りです。
アクリジョン
比較的サラッとしており、希釈をせずとも塗料の伸びは良好でした。
筆がモタつくこともなく、塗料がダマになることもありません。
希釈しすぎると、顔料が流れてムラになるので注意が必要です。水分量が多いとパーツに弾かれることもあります。
![【誰でもできる】ガンプラ筆塗り塗装のコツを紹介!-希釈なし・薄塗り](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/08/20-1-320x180.png)
水性ホビーカラー
若干ドロッとしており、希釈せずに塗ると筆がモタつく感覚がありました。
希釈しないと伸びは良くない印象です。
専用薄め液で少し薄めて筆塗りするのが良いでしょう。
2.初心者にはアクリジョンがオススメ!
これから筆塗りを始める初心者の方にはアクリジョンをオススメします。
その理由は次の通りです。
- 臭いがない
- 片付けがカンタン
- 下地塗料がある(発色を助けてくれる)
- 公式もオススメ ※GSIクレオス ホビー部「X」
詳しく見ていきましょう。
2-1.臭いがない
![臭くない](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/05/タイトルなし.png)
塗装する上でまず考えなければならないのが「臭いの問題」です。
同居する家族など周囲の迷惑に気を遣うことになります。
また、換気も必須なので寒い時期の塗装は悩みどころです。
溶剤の使用料が非常に少ないアクリジョンは、臭いがほとんどないのでリビングでも塗装できますし、換気も必要ありません。
2-2.片付けがカンタン
![片付けカンタン](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/05/タイトルなし-.png)
塗装は手間のかかる作業です。
塗り終えて疲れた状態の後片付けが大変だと”もう塗装したくない”と思ってしまいますよね。
その点、アクリジョンは水だけで片付けられるので非常にらくちんです。
使い終わった筆はコップに入れた水で洗えば済みますし、塗料が手についても水と石鹸でキレイになります。
※しっかり筆をお手入れする場合は「Mr.フデピカリキッド」での洗浄がオススメです。
2-3.下地塗料がある
アクリジョンの弱点は「隠ぺい力の弱さ」です。
赤や黄のような隠ぺい力が弱い色は、そのままパーツに塗っても思った色になりません。
そんな隠ぺい力の問題も下地塗料のベースカラーで解決できるので、全く問題ありません。
![ふでおじ](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/11/face.jpg)
私がアクリジョンを使っているのは、下地塗料があるからです。
まとめ
以上、水性ホビーカラーとアクリジョンの違いを解説しました。
ここまでアクリジョンを推してきましたが、うまく塗装できるようになるには慣れが必要です。
ぜひ記事の内容をを参考に、アクリジョンで筆塗りを楽しんでみてくださいね!
▼筆塗りのコツは、次の記事にまとめています。
![【誰でもできる】ガンプラ筆塗り塗装のコツを紹介!-希釈なし・薄塗り](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/08/20-1-320x180.png)
※水性ホビーカラーはアクリジョンより色数が多く、臭いの問題がクリアできれば筆塗りに適した素晴らしい塗料です。
ご自身の環境に合わせて、チョイスすると良いでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、ステキな筆塗りライフを!
▼アクリジョンで筆塗をはじめるなら、スターターキットがおすすめ!
![](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/plugins/pochipp/assets/img/pochipp-logo-t1.png)
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※アクリジョンで筆塗りを始めるなら、こちらの記事もどうぞ!
![アクリジョンの筆塗りに必要なもの4選!アクリジョン・調色スティック・筆・パレット](https://www.hudenuri-ojisan.com/blog/wp-content/uploads/2024/07/12-1-1-320x180.jpg)
▼アクリジョンで筆塗り全塗装した私の愚作たちです。
アクリジョンを使った塗装の参考になればうれしいです!
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