接着剤でガンプラの合わせ目を消そう!キレイな合わせ目消しのコツを紹介
プラモデルのパーツ同士を組み合わせた際に残る線を「合わせ目」といいます。
特に古いキットは、正面の目立つ場所に合わせ目が出ることが多く、そのまま組み立てるとプラモデル由来のオモチャっぽさが残ってしまいます。

そこで行うのが「合わせ目消し」と呼ばれる工作です。
プラモデル用の接着剤を使って、パーツの合わせ目を消す作業です。
この合わせ目消し、処理する部位によって難易度が変わり、慣れたはずの人でもうまく消せず跡が残ることがあります。
本記事では初心者の方向けに、合わせ目消しのやり方と上手くやるポイントを解説します。
ぜひ最後まで読んでいただき、合わせ目消しをマスターしてもらえると嬉しいです!
それでは本編をどうぞ!
1.合わせ目消しの種類
合わせ目消しには2通りのやり方があります。
- 接着して合わせ目を消す
- 合わせ目は消さず目立たなくする
の2つです。
どういうことか見ていきましょう。
1-1.接着して合わせ目を消す
最も一般的なのが、接着剤でパーツを接着して合わせ目を消す方法です。
接着にはプラモデル用の樹脂系接着剤を使います。

▲とろみがある液状の接着剤で、プラスチックを溶かす作用があり、塗ってハメ合わせることで、あたかも溶接するようにパーツ同士を接着することができます。
以下の商品がメジャーです。
詳しいやり方は後述します。
1-2.合わせ目は消さず目立たなくする
もう一つが「段落ちモールド化」と呼ばれる手法です。
合わせ目に沿って片側のパーツを削り込み、少し太めのモールドを作るというものです。

▲段落ちモールド化した合わせ目がこちらです。
ガンダムエアリアルのヒザパーツですが、左右のパーツを挟みこむ構造のため、中央にパックリと合わせ目が出ていました。
パーツの片側を削り込むことで合わせ目をデザインの一部にしてしまうのが、段落ちモールド化です。
2.合わせ目消しの手順
合わせ目消しはこんな手順で行います。
2-1.合わせ目の確認



処理していく合わせ目たちです。
今回のHGジムさんのように古いキットはより顕著で、目立つ場所にパックリと出ます。
このままだとプラモデル感が満載なので、合わせ目を消していきましょう。
3.合わせ目を消してみる
3-1.パーツをばらす
合わせ目消しをする前に、対象のパーツを外していきます。
まずは、脚部パーツから。
古いHGキットは、脚部が腰パーツに成形されたボールジョイントで接続されています。


上下に大きく揺らしながら外すと、そのうちジョイントが折れてしまいます。
軸と同じ方向(写真だと右)にウニウニ揺らしながら引っ張ると、ジョイントを折らずに外すことができます。

私は2体ほど、股間の軸を折ったことがあります。
サイドアーマーは上げておきます。足を外した勢いで破損する場合があるからです。



つづいて処理するパーツをバラします。
パーツをばらす際は専用の「パーツオープナー」が便利です。
先端の金属部分をパーツの合わせ目に差し込み、ぐりぐりっと動かしてこじ開けます。
強くグリグリするとえぐれてしまうので、やり過ぎには注意です。
Tips


パーツをハメ合わせる”ダボ穴”を切り欠くか、“ダボ軸”を少しカットしておくと、パーツが外しやすくなります。
組み立てる際にやっておくと良いでしょう。
3-2.接着する

▲冒頭で紹介した樹脂系接着剤「タミヤセメント」を使います。ドロッとした透明な接着剤で、溶剤を含むためシンナーの臭いがします。換気をして作業すると良いでしょう。フタが白いので”白瓶”などと呼ばれます。

▲蓋の裏についているハケでパーツのフチに接着剤を塗っていきます。塗るというよりフチに”置く”感覚で塗っていくと垂れずに上手くいきます。

▲反対側のパーツにも塗っていきます。しっかり接着剤が塗れているかが仕上がりの差につながります。

▲両方のパーツに接着剤が濡れたら、パーツをハメ合わせます。
合わせたパーツを指でグッと圧着するとハメ合わせ部分から接着剤がはみ出てきます。
このはみ出しは「むにゅ」と呼ばれていて、写真のように”むにゅ”が出ると成功です。
3-3.半日~1日置く
接着剤は乾燥に時間がかかります。
ネットで1日~3日など色々言われていますが、乾燥時間は私の感覚で半日~1日です。
夜に接着すると、次の日の昼に乾燥し硬化しているイメージです。
接着した後は硬化するまでしばらく待ちましょう。
3-4.ヤスリで整える
1)平面の処理

▲接着剤が硬化するとこんな感じになります。
接着時にはみ出した「むにゅ」が盛り上がっていますね。
このままだと表面が汚いので、ヤスリで整えていきます。
▲使うヤスリはこちら。
金属製の平型ヤスリで非常に目が細かく、削り味と仕上がりの良さを両立したオススメのヤスリです。
今回は10mm幅のものを使っていきます。


▲金属ヤスリは押して使う道具なので、矢印の方向に押して削ります。面に対し平行になるよう当てたヤスリをやさしく動かします。えぐれたり削り過ぎたりするとリカバリーが大変なのでやさしくです。

▲切削面はこんな感じです。盛り上がっていた「むにゅ」が削れてキレイになっています。表面は若干のざらつきがある印象です。

▲むにゅが出ている面をくまなく削ってキレイにします。面に対して平行にヤスリを当てるのがうまく削るポイントです。

▲ヤスリがけを終えた合わせ目がこちらです。
キレイに合わせ目が無くなり、初めから一つのパーツだったかのような仕上がりです。
これくらい合わせ目が見えなくなれば、処理は成功と言えるでしょう。
2)曲面の処理

▲先ほどと違いこのパーツは合わせ目が曲面に出ています。曲面では平らな金属ヤスリを使うことはできません。

▲そんな時はデザインナイフを使います。刃の背中側を使って「むにゅ」を削っていくのです。

▲写真のように刃の背中側で擦るように「むにゅ」を削っていきます。背中側も金属なので程よい削り味でカンナ掛けに向いています。

▲カンナ掛けが終わりある程度キレイになりました。削り過ぎるとキズがついてしまうので、凹凸が無くなる程度に留めておきます。

▲さらに表面を整えていきます。ゴッドハンドのスポンジヤスリ「神ヤス!」が使いやすくオススメです。私は400番手(目の粗さ)を使います。

▲カンナ掛けした表面を軽く擦ってやります。それほど力はいりません。金属ヤスリと違って動かす方向は問いません。


▲このように合わせ目をキレイに消すことができました!

平面は金属ヤスリ、曲面はデザインナイフ+スポンジヤスリと覚えておきましょう!
※人によってやり方、使う道具は様々です。これは私のやり方です。
4.流し込みタイプの接着剤
4-1.接着してみる

接着剤には樹脂の分量を減らしとろみを抑えた流し込みタイプもあります。
サラッとしていてミゾや隙間に流し込みやすい接着剤です。
今度はこちらを使ってみましょう。

▲接着剤を流し込むためにパーツに隙間を開けます。パーツオープナーを差し込みパーツに少しだけ隙間を作ります。(マイナスドライバーでやる方もいますが、専用ツールが使いやすいです)

▲理想の隙間は髪の毛1本分の幅と言われています。なかなか難しいので、写真のようにうっすら隙間が空けばよいでしょう。

▲流し込みタイプも蓋の裏にハケが付いています。パーツの隙間にハケをちょんと付けると、接着剤が隙間に流れ込んでいきます。毛細管現象と呼ばれる作用で隙間にいきわたるのです。

▲裏側の隙間にもハケをチョン付けして、接着剤を流し込みます。流れる量が足りないなと思ったら何度か流し込むと良いでしょう。

▲接着剤を流し終えたら指で圧着し、むにゅを出します。合わせ目消しはむにゅが出すのがポイントです。(ピンぼけすみません)
4-2.通常・流し込みタイプの使い分け
タイプに違いがある接着剤ですが、どのように使い分けたらよいでしょう。
私は正直、仕上がりに違いは感じないので、好みのものを使えばよいと考えていますが、次のような感じになると思います。

- 流し込みタイプが合う方
- 手軽に合わせを消したい
- 手早く処理したい
- 通常タイプが合う方
- シッカリと合わせ目を消したい

どちらも一長一短ありますので、自分が使いやすい方を選んでください。
5.段落ちモールド化

最後にもうひとつの合わせ目処理方法「段落ちモールド化」を見てみましょう。
おさらいですが、段落ちモールドとは、写真のように合わせ目の片側に太めのミゾを設け、合わせ目をデザインのひとつにしてしまうものです。
それでは実際に段落ちモールド化してみましょう。
HGジムさんには段落ちモールド化に適した合わせ目がなかったので、別のキットを使います。
※HGガンダムエアリアルさんです。
5-1.タガネでやる方法

▲接着剤で圧着するとあとからハメられなくなる場所は、段落ちモールドにしてしまいましょう。※後ハメ加工をして接着する手もありますが。

▲パーツの合わせ目に沿って、片側のパーツをデザインナイフの背中でカンナ掛けしていきます。

▲これがタガネで削るためのガイドラインになります。

▲つづいて0.3mmのタガネを使い、カンナ掛けで作ったガイドラインをなぞっていきます。

▲0.3mmで削った後は0.6mmのタガネで仕上げをします。力を入れずゆっくりタガネを動かしていきます。

▲毛羽立ちをスポンジヤスリで整え、合わせ目が段落ちモールドになりました。
接着剤による合わせ目消しが面倒な場合や、後ハメ加工が必要で合わせ目消しが難しい場合は、このように段落ちモールド化で合わせ目を目立たなくする手もあります。

段落ちモールド化は目立たちにくい場所が向いています。
正面に出る合わせ目は接着剤で消した方が良いでしょう。
5-2.便利な専用ツール
段落ちモールド用の便利な専用ツールもあります。
スジボリ堂さんから出ているBMC ダンモです。


※引用:スジボリ堂 公式オンラインショップ
私は使っておりませんが、キレイに均一な段落ちモールドを彫るには大変便利で人気なツールです。
まとめ
以上、合わせ目消しのやり方を解説しました。
ポイントを振り返っておきましょう。
- 正面に出る合わせ目は接着剤で消す
- 「むにゅ」をしっかり出す
- 乾くまで半日待つ
- 平面は金属ヤスリ、曲面はデザインナイフを使う
- サイド、後ろは段落ちモールド化もアリ!
合わせ目消しは「基本工作」と呼ばれるガンプラ製作の基本的な作業です。
ですが、キレイに合わせ目を消すのは意外と難しく、慣れが必要でもあります。
ぜひ、本記事を参考にキレイな合わせ目消しを目指してみてください!
※合わせ目消しに欠かせない「後ハメ加工」はこちらで解説しています。

それでは、ステキなガンプラライフを!




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